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天野節子著『目線』を読了。以前読んだ『氷の華』が普通に良くできたサスペンスドラマっぽくて面白かったので、本作も読んでみようと……。
冒頭、子供が走っていて足を引っ掛けられ階段から落ちて背中を叩きつけられる描写があり、次に犯人が殺人を犯すシーンが描かれる。『目線』というタイトルとこの冒頭十数ページの描写だけで、すでに読者は犯人の身体的特徴を知ることができるのだが、では、登場人物の誰がその「身体的特徴」を持った人物なのか? というのを見きれるかどうかというのがポイントになる作品。 僕も17ページ以降はそのことをずっと気にしながら読み進めていたのだけど、すっかり著者に騙されて、最後の方まで犯人がわかりませんでした……。 わかってから読み返すと、確かにその人物において、この「身体的特徴」に関連する描写が読みとれて「おおっ、フェアだなぁ!! 何故1回目に読んだ時、この一文に気付かなかったんだろう?」と悔しくなる部分もあり、逆にその人物がこの「身体的特徴」を持った人物だと思わせないための巧みな描写があえてなされているところもあって「ここはずるいなぁ」と思ったりも(笑)。 そういった意味では、ある程度のヒントを与えて読者に「犯人を見つけてごらん」と挑発する良くできた小説ではあるのですが、その「仕掛け(トリック)」の面白さとは裏腹に、話の中身と登場人物の面白味といった部分は弱くて、"お話"としては微妙な仕上がりでした。 小説は文章によって描写された内容だけが読者に与えられた情報であり、その場面で起こっているすべてを読者が捉えられるわけではない。「私は、***した」と書かれていても、その「私」が一体誰なのかは、主体が変わらない一人称で展開される物語でない限り"正体不明"なのだ。 「著者にとって都合の良いものだけを文章にし、見せたくないものは文章にしない」ことによって、いとも簡単にトリックは成立するが、あまりにアンフェアなことをやると読者はついてきてくれない。この『目線』はアンフェアなところまではいってないけど、あまりいい意味で「やられた!」って印象は受けなかった。インパクトが弱かったと言った方が良いか??? この手の小説を読むなら、これはもう、見事に徹底してやっている筒井康隆著『ロートレック荘事件』の方を圧倒的にオススメしたいですね!
by takezakit
| 2011-01-14 22:42
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